院長のひとり言
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金づち克服法
7歳前後の夏、兄に連れられて郷里の鬼怒川(栃木県宇都宮市)で浮き輪をつけて泳いでいた。
しかし河の流れが速くなり、ドンドン岸から離れて行き、生まれて初めて溺れる怖さを体験した。
以来 川 には怖くて近づかなくなった。海でも足が着かなくなると、海水をシコタラ飲んでしまう有様だった。
そのためテレビや書物から、カナヅチ克服法を熱心に勉強したが泳げる様にはならなかった! 当時はまだ小学校にも中学校にもプールがない時代で、水泳の実際の授業は高校になってからであった。しかし高校の水泳の試験では、プールの底に足が着かないで25mが泳げれば合格であった。息継ぎをせずに一気に25mは泳ぐことができたので、カナヅチの汚名は免れ続けていた。当時の教え方も(洗面器の水に顔を着けて、吸ったり吐いたりしなさい! ビート板で空気を吸ったり吐いたりしながら前に進みなさい!)というのが主流だった。しかし、この練習ではいくらやっても成果が得られなかった。息継ぎが出来ないからである。
学生も疑問に思って質問する者もいなかった。教師も同様であった。
これでは何時までたっても自分の目標の”格好いいアメリカ人”には程遠いばかりだった。”格好いいアメリカ人”なら、英語がペラペラで水泳もヨットも上手で、可愛い女の子をヨットに乗せてキャーキャー言わせることができる!! さらにヨットの他に乗馬もゴルフもできるようにならなければならない! 時間は永遠にあるわけでない! 先ずは泳げる様にならなければ話にならない。
本屋で買った水泳の本には、本当の意味で”泳げる”と認められるには、200mを1回も足を着かないで泳げなければならない。これが”泳げる”ことに関する国際的な基準だと書いてあった。当然だと思った。グーの音も出なかった。
寝ながら考えた。自分なりの自己流で”課題の息継ぎ”が出来る様にならないか?人目を気にせずに、8コの浮き輪を体中に巻き付けた。8コでは浮かばず、12コなら浮かぶことが分かった。12コ付けたまま泳げば、簡単に息継ぎが出来、直ぐに泳げるかなと思ったが甘かった!息継ぎをしようとすると頭が上に浮き上がり、反対に胴体は沈んでしまう!!
仕方がないので全身を1回転しながら泳ぐようにしてみた。頭を下げながら身体を1回転させると、その間に上半身と顔面が水の上に浮かび、確実に呼吸すなわち息継ぎができるようになった。格好は非常に悪いが、誰の手も煩わせずに泳げるようになった瞬間だった!! えらいぞ!やった!やった! 泳げるようになったんだ!!その夜は興奮して眠れなかった。
毎日の練習で、浮き輪は12コからだんだんにと数を減らすことができた。しかし4コ以上減らすと、体が沈んでしまう。進歩はここまでか? 万事休す??
ある夜再び寝床で考えながら、いい案がひらめいた。これまで水に”浮こう、浮こう”とあがき過ぎていたのでないか? ”もっと、水を信じろ!水の女神に身をあずけろ!” ”水の精と愛し合うんだ!”
翌日のヨルのプールで、水の上に大の字になって、昨夜考えたイメージトレーニングをやってみた。驚いた!! 水の中に投げ込んだペットボトルのように、体全体が水の上にぽっかり浮かんだ!! 衝撃だった。”これが浮力だ” リラックスしてれば人間の体は水の上に浮かぶもんなんだ! 何も努力しないでも身体は水に浮かぶ!水を信じて身体をあずければ、勝手に幸せを与えてくれる!!
“水の浮力が利用できなかったから泳げなかったんだ!!””なぜこんな簡単なことが分からなかったんだ!!”
これまでの様にイチイチ1回転せずに、いとも簡単に息継ぎができるようになった。2~3日後には2000mが楽に泳げるようになった。もともと長距離ランニングは得意だったので、水の中での呼吸が陸上と同じように自由に出来れば、クロール1日2000mも驚くに当たらなかった!!
最後に課題が残った。スピードである。
オリンピックに出場している自由形の選手たちの生き生きとした水泳の風景である。大きく口を開けて猛スピードで泳いで行く!小学生のころから、格好いいなあと思いながらも、よく水を誤って飲まないなと感心していた。何か特別な技があるんだろうとしか考えなかった。 浮力が使えるようになってくると、頭のてっぺんを水の先に出せるので、頭は少し沈んだ分だけ体は浮かび、下半身のけりが強力になり、スピードも格段に上がる。 自分の場合、”のどちんこ”より下に水面があれば水を誤って飲まずに、最大限に手足を動かし前に進めることがわかった。
クリニックに訪れる患者さんの中には”金づち”の人が大変多い。しかしこの金づち克服法をいくら熱っぽく語っても、ポジティブに反応し、実行に移してくれた人は殆んどいなかった。。 ぼくの教え方が下手なのは分かるが、それだけではなさそうである。水への恐怖心が絶望的に強く、泳ぐことを完全に諦めてしまっていることが原因かもしれない。
(まとめ)
プールに入ったら、仰向けに大の字に寝て、身体が水の上に浮き上がるまで浮き輪を出来るだけ沢山身に着けて下さい。
身体が浮いてきたら、今度は反対に腹ばいになりましょう。身体が1回転する間に、息を吸って吐きましょう! ここが一番大切なポイントです。
浮かんで自由に呼吸ができるようになったら、浮き輪を1コづつ減らして行きましょう!
その時 ”水の精”にやさしく抱いてもらうイメージを思い浮かべて下さい。
リラックスすればするほど、身体に浮力が働き、ポワーンと浮かんできます。
浮き上がる浮力の力を十分過ぎるくらい味わいましょう!
浮力の力に目覚めたら、もう貴方は”金づち”ではありません。
これまで泳げなかった分を取り戻して、幸せになりましょう。
しかし河の流れが速くなり、ドンドン岸から離れて行き、生まれて初めて溺れる怖さを体験した。
以来 川 には怖くて近づかなくなった。海でも足が着かなくなると、海水をシコタラ飲んでしまう有様だった。
そのためテレビや書物から、カナヅチ克服法を熱心に勉強したが泳げる様にはならなかった! 当時はまだ小学校にも中学校にもプールがない時代で、水泳の実際の授業は高校になってからであった。しかし高校の水泳の試験では、プールの底に足が着かないで25mが泳げれば合格であった。息継ぎをせずに一気に25mは泳ぐことができたので、カナヅチの汚名は免れ続けていた。当時の教え方も(洗面器の水に顔を着けて、吸ったり吐いたりしなさい! ビート板で空気を吸ったり吐いたりしながら前に進みなさい!)というのが主流だった。しかし、この練習ではいくらやっても成果が得られなかった。息継ぎが出来ないからである。
学生も疑問に思って質問する者もいなかった。教師も同様であった。
これでは何時までたっても自分の目標の”格好いいアメリカ人”には程遠いばかりだった。”格好いいアメリカ人”なら、英語がペラペラで水泳もヨットも上手で、可愛い女の子をヨットに乗せてキャーキャー言わせることができる!! さらにヨットの他に乗馬もゴルフもできるようにならなければならない! 時間は永遠にあるわけでない! 先ずは泳げる様にならなければ話にならない。
本屋で買った水泳の本には、本当の意味で”泳げる”と認められるには、200mを1回も足を着かないで泳げなければならない。これが”泳げる”ことに関する国際的な基準だと書いてあった。当然だと思った。グーの音も出なかった。
寝ながら考えた。自分なりの自己流で”課題の息継ぎ”が出来る様にならないか?人目を気にせずに、8コの浮き輪を体中に巻き付けた。8コでは浮かばず、12コなら浮かぶことが分かった。12コ付けたまま泳げば、簡単に息継ぎが出来、直ぐに泳げるかなと思ったが甘かった!息継ぎをしようとすると頭が上に浮き上がり、反対に胴体は沈んでしまう!!
仕方がないので全身を1回転しながら泳ぐようにしてみた。頭を下げながら身体を1回転させると、その間に上半身と顔面が水の上に浮かび、確実に呼吸すなわち息継ぎができるようになった。格好は非常に悪いが、誰の手も煩わせずに泳げるようになった瞬間だった!! えらいぞ!やった!やった! 泳げるようになったんだ!!その夜は興奮して眠れなかった。
毎日の練習で、浮き輪は12コからだんだんにと数を減らすことができた。しかし4コ以上減らすと、体が沈んでしまう。進歩はここまでか? 万事休す??
ある夜再び寝床で考えながら、いい案がひらめいた。これまで水に”浮こう、浮こう”とあがき過ぎていたのでないか? ”もっと、水を信じろ!水の女神に身をあずけろ!” ”水の精と愛し合うんだ!”
翌日のヨルのプールで、水の上に大の字になって、昨夜考えたイメージトレーニングをやってみた。驚いた!! 水の中に投げ込んだペットボトルのように、体全体が水の上にぽっかり浮かんだ!! 衝撃だった。”これが浮力だ” リラックスしてれば人間の体は水の上に浮かぶもんなんだ! 何も努力しないでも身体は水に浮かぶ!水を信じて身体をあずければ、勝手に幸せを与えてくれる!!
“水の浮力が利用できなかったから泳げなかったんだ!!””なぜこんな簡単なことが分からなかったんだ!!”
これまでの様にイチイチ1回転せずに、いとも簡単に息継ぎができるようになった。2~3日後には2000mが楽に泳げるようになった。もともと長距離ランニングは得意だったので、水の中での呼吸が陸上と同じように自由に出来れば、クロール1日2000mも驚くに当たらなかった!!
最後に課題が残った。スピードである。
オリンピックに出場している自由形の選手たちの生き生きとした水泳の風景である。大きく口を開けて猛スピードで泳いで行く!小学生のころから、格好いいなあと思いながらも、よく水を誤って飲まないなと感心していた。何か特別な技があるんだろうとしか考えなかった。 浮力が使えるようになってくると、頭のてっぺんを水の先に出せるので、頭は少し沈んだ分だけ体は浮かび、下半身のけりが強力になり、スピードも格段に上がる。 自分の場合、”のどちんこ”より下に水面があれば水を誤って飲まずに、最大限に手足を動かし前に進めることがわかった。
クリニックに訪れる患者さんの中には”金づち”の人が大変多い。しかしこの金づち克服法をいくら熱っぽく語っても、ポジティブに反応し、実行に移してくれた人は殆んどいなかった。。 ぼくの教え方が下手なのは分かるが、それだけではなさそうである。水への恐怖心が絶望的に強く、泳ぐことを完全に諦めてしまっていることが原因かもしれない。
(まとめ)
プールに入ったら、仰向けに大の字に寝て、身体が水の上に浮き上がるまで浮き輪を出来るだけ沢山身に着けて下さい。
身体が浮いてきたら、今度は反対に腹ばいになりましょう。身体が1回転する間に、息を吸って吐きましょう! ここが一番大切なポイントです。
浮かんで自由に呼吸ができるようになったら、浮き輪を1コづつ減らして行きましょう!
その時 ”水の精”にやさしく抱いてもらうイメージを思い浮かべて下さい。
リラックスすればするほど、身体に浮力が働き、ポワーンと浮かんできます。
浮き上がる浮力の力を十分過ぎるくらい味わいましょう!
浮力の力に目覚めたら、もう貴方は”金づち”ではありません。
これまで泳げなかった分を取り戻して、幸せになりましょう。